2012年8月31日金曜日

古心流 「名月香」のお香席に出ました!

今日は、
古心流のお家元 無何有庵秋峰先生のお邸で
香席に参加させて頂きました!


美しい香炉。
宮本武蔵も、心を落ち着けるために戦いの前には
このような香炉で空焚(そらだ)きをしたと
お家元がお話しして下さいました。

どん香りを聞いて、出かけたのだろう。


床の間には、盤もの。
今日のために特別にしつらえておいてくださいました。



ひとつは葵祭の盤。


もう一つは、鵜飼の盤。


江戸時代には、こんな風に盤もので
香りの当てっこをして、勝った者が盤の駒を進ませ優雅に遊んだのです。


香席で用意される組香でも、一炉目とニ炉目の香りが同じか違うかなど
当てる遊びをします。
でも、お家元はいつもおっしゃいます。
香りは、感じるもの。物語や風景、情感を思い浮かべるもの。
その香りを当てた当てないというのは関係ないと。

それより、その香りをどんな風に感じたか、その方が大切なんだと。




今日、お家元が準備してくださったのは「名月香」。
お月さまのお香遊びです。

月にウサギがいるという説話はインドから渡ってきたもの。
その話が日本では、今昔物語の中におさめられています。

簡単にご紹介します。
ーーーーーーーーーーーーーー
神様がこの世に降りてこられ…人の姿に変装されました。
そして、猿、狐、うさぎに、お腹が空いたから何かとってきて
欲しいと言います。
猿は木の上にある食べ物を。狐は動物を捕まえて持ってきます。
しかし、うさぎは野山を駆け回ったけれど何もとれませんでした。
うさぎはとても弱い動物だったからです。

うさぎは戻ってきて、神様である人に言いました。

「どうぞ火を焚いてください」

そして、うさぎは焼かれた火の中に入り
「どうぞ、私を食べてください」と、言いました。


神様は、その心の優しいうさぎを深く思い…
月にあげて、永遠に幸せに暮らせるようになさいました。
ーーーーーーーーーーーーーー

今日の組香は、この物語が主題です。
哀しく美しいストーリーです。

この組香には決められた遊び方があるのです。
それに従って、香席が繰り広げられます。


まず、「月」という香が、まず試みに試香されます。
そして、本香として、2つの炉がまわってきます。

その一番目の香と、二番目の香のどちらかが
先に試香した「月」であるはずなのです。

香りを聞いて、楽しみ、想像し、遊んで。。。
そして、その答を和紙に書きます。

ひとりひとりに、筆と墨が渡され、それで書き記します。



それは、それは美しく優雅な遊びです。
心が癒されます。

私の試香は、遠くからほのかに寄せてくるようなぼんやりとあたたかな
お月さまので。あぁ、もっとずっとそばにいたいと思うような「月」の香りでした。

そして、本香がはじまると…
なんと一炉目の香りのいとおしいことでしょう。
先ほどのお月さまが、ぐんと近くにこられて私のそばへ
寄せてきてくださったようです。

香は、3息か5息、聞きます。
私は、私の次のイレーナにはやく渡してあげなければと思いながらも
重々ゆっくりと、この炉を5息聞かせていただきました。

離れ難い香りだったのです。

でも、まさしく是は、先ほどと同じ「月」の香り。
これは、試香同じ「月」だとはっきりと感じました。

その後、ニ炉目がやってきました。
これは、これは、先ほどの香りと全然違う。

火山のような、炎のような、少し苦みのある香りでした。
強く火を感じる香りでした。

だから、これは、「月」ではない。
そのことを、和紙に手順に従って書き記しました。




本当に美しい時でした。


これらの香木はお家元が全て選んでくださった香りです。


いつもお美しい黒須先生。
宗家代理という最も最高位の師範の先生です。





お家元と、パチリ!



本日の香記です。美しい。



0 件のコメント:

コメントを投稿