2012年3月13日火曜日

上杉蒼龍先生

書家の上杉蒼龍先生が、天に召されました。
哀しくて哀しくて…言葉になりません。

本当に応援して頂きました。
桜月流、どんなご指導いただいたかわかりません。


フランスの出版社から出版された「百人一首」。
これを書き上げられたすぐ後、お邸に呼んで頂いたことがあります。





これは、百人一首の百首の和歌から感じとられた
インスピレーションを、各々二文字の熟語にして
書の作品集になさったもの。フランス語訳がついて、
100作品が収められているのでした。
素晴らしい作品集です。

もう70歳を超えられてからの挑戦。
先生はいつみずみずしく、いつも輝きを失わずに、
書を愛し、書に生きた方でした。

書韻会という大きな書の組織を持っておられ、
沢山のお弟子さんがいらっしゃいます。

娘のかすみさんとも
学生のころからお親しくさせて頂いていました。
二代目を継がれる彼女は、
先日の舞台では、書離れて舞手として「衣川幻想」に
出演もして頂いたアーティストです。

蒼龍先生が、おっしゃっていました。
彼女(かすみさん)が、ピアノを弾きたい弾きたいと言ったが
すぐには弾かせなかった。まず、毎日、外へ連れてゆき、
風の音や鳥の声、川のせせらぎや雨の音を聞かせた。
それをして、ずっと後になってから、ようやく
ピアノを習わせた。

幼き日のご教育について、低くダンディなお声で
先生は語られました。

その字だって、3万回書けば上手になる。
僕は3万回書いただけだよ。

タバコをくゆらせながら、美術の話、桜の話、
戦争の話、哲学の話…たくさん聞かせてくださいました。

美しいものを、こよなく愛しておられました。

涙がとまりません。

君がやっていることは、美しさの追求だろ?
意味じゃなくて、あふれ出るものがあるはずだ。
究極の美、剱の究極の美。
到達できるはずだよ。
求め続けることだ。
君にしかできない。
この道をつくることは、君にしかできない。
誰もわかってくれないと、思う日があるかもしれない。
でも、真物は、真物だから、いつの日にかわかる日がくる。
だから、大丈夫なんだ。


先生もニケの像がお好きだった。
先生は美しくて生命力に満ちたものがお好きだった。

先生のご冥福を心からお祈りします。
私も、桜月流も、
蒼龍先生という偉大な書家先生にお会いできて
本当に本当によかったです。

先生の意志は、全て
かすみちゃん… 上杉華澄さんが受け継ぎ
次代を担っていかれるのだと思います。

先生に心からの感謝を天に届けます。








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