2012年6月8日金曜日

太陽を追いかける旅!ミラクル連続・金星の太陽面通過!

6/6の朝、飛び起きると…窓の向こうから、かすかに雨の音。
昨夜から決めていた。

「雨だったら、三島の月光天文台まで行こう」

迷いなし。台風の影響。西の方へ行けば行くほど晴れている。
天体観測だけは、晴れていなければ話にならない。
雨はだめ、厚い雲もだめ。
特に今日は太陽なんだから、サンサンと降り注ぐ太陽の場所まで
行かなければ!!

すずめのヘモちゃんに、ほくほく玄米と豆苗、
大好きな小麦胚芽ビスコをあげて、速攻飛び出す。

日食グラスは、2004年と先日の金環食を見た縁起のいいメガネだ。

むむむーー、電車に乗る前に仕事の電話。
30分のロスタイム。急いで、東京駅に滑り込む。

ガラガラの新幹線こだま。
新横浜までは雨… しかし… 小田原をすぎる頃から雨がやむ。
Facebookでは、広島や岡山の天文台からの実況中継!
あぁーーはじまってる!とりあえず、東京駅で買った深川飯。




熱海は厚い雲、でも遠くに青い空の切れ間が見えている。
三島はどうかな?? 天気予報を検索する。
三島、函南、12時は雨☔ 15時は晴れ☀
あぁ…ダメか…。

切符は三島までだけど、そのまま静岡へ行くことを決定。
その頃、メールにもFacebookにも、いろんな有益な情報が飛び込んでくる。

私が東京を飛び出したので、
弟子たちも友達も驚きと心配をしてくれたのだった。

「よし、とにかく静岡へ行こう!」

静岡といえば、この間、渡部潤一先生が講演に行っておられた
焼津ディスカバリーパークがあるはずだ。そこへ行こう。
そこで、天体望遠鏡も、見せてもらおう!

静岡駅を飛び降りて、走る。東海道線に乗らなきゃ。
新幹線の駅員さんに、「焼津に行きたいのです!乗り越してます!」
快く手続きしてくれた駅員さんを背に疾風のごとく改札を駆け抜ける。
東海道線発見!電車が来ているぅうう!




そこへ、三重県からの電話!
三重の空は、雲一つなく晴れ渡り、
金星が太陽の前をイキイキと通過しているらしい。
なんと!羨ましい!!

動きだした東海道線窓から空を見上げる。
雲、雲、空は晴れてはいるけれど、雲だらけ。
焼津まで行けば晴れてるのかな。
ツイッターにも焼津の晴れ間が多くなってるとのコメント。
ディスカバリーパークでは、
大ビジョンに太陽の様子が映し出されているらしい。

すると、突然、Facebookに、四日市からメッセージが入った。
「ディスカバリーは静岡から1時間かかりますよ。」
「今、問い合わせたところ、大型ビジョンは3階でみられるそうです。」
人のために、科学館に問い合わせをして下さる人がいる!?
なんて、優しいの!ありがとうございます!上野さん。

んん??
大型ビジョン??
望遠鏡は?望遠鏡でも見せてくれるんだよね…?

私はその方に、「望遠鏡では見れないの?」とお聞きしてみました。
すると…
望遠鏡はメンテナンス中で見れない
とのご返答を頂戴したとのことでした。

えーーーー!!
見られないの? そんなー。望遠鏡で見たい!

大型ビジョンじゃ、Ustreamの映像を見てるのと変わらないもん。
これは、ダメだ!

私は確信し、後先考えず、次の駅で飛び降りた!
三重も、明石も、金沢も、岡山、広島、九州も晴れているんだ。
やっぱり、西へいかなきゃ。西だ、できる限り西へ行かなきゃ。

「浜松へ行こう!」

私は東海道線ホームを駆け抜けて。
階段を登り反対側のホームへ走った。あぁ、静岡行きの電車が来ている。
しかしーーー乗れなかった!でてしまった。次は? 10分待たねば。

この10分は一時間にも感じましたが、次の電車はやってきた。
そして、私は静岡に逆戻りして… さっきの駅員さんと再会した。
「急に浜松に急いで行きたいんです。
新幹線に戻りたい、乗りたい、急いでるんです!」

駅員さんに私の異常ぶりが通じたのか。その若い駅員さんは
みどりの窓口のお姉さんを横にどかせて自分でパパパっと切符を
準備してくれた。

駅員さん「26分のに乗ってください!」
私 「え!あと2分しかない、乗れる??」
駅員さん「乗れます!走って!!一番奥のホーム、走って!」

ありがとうございますぅうう!!
ダッシュ、猛ダッシュです。
ダンダンダンダンと階段を駆け上がり、タッチの差でこだまに乗り込んだ!

今、思っても。あの新幹線によく乗れたと思う。
実は、この電車に乗れなかったら…私の太陽の旅は失敗に終わったはずだった。あの駅員さん、名前もわからないけど…
会えるなら会ってお礼が言いたい。

静岡から浜松へ。雲がだんだんきれて行く。
そして、浜松到着寸前、突然、まばゆいばかりの太陽光戦が新幹線の窓に
直射で降り注いだ。高度の高い太陽。窓ギリギリの高さ。
私は、窓ガラスにへばりついて上を覗き過ぎて、ガラス窓に頭を強打!
痛っ!しかし、探し求めてきた太陽が出たのです!歓喜!
コメカミを窓に押し付けて、太陽を見つめながら、心は狂喜乱舞です!!

しかし、「あーーー!」目がっ!!
太陽を見過ぎて、視力が緑にピカピカダウン!
これは、いかん!日食グラスを!!私は、日食グラスを取り出した。
しかし、高度が高くて窓ガラスがに当たる。
金星が目の前にあるはずなのにーー。見れない!

あの時の私のはやる気持ちを一体誰が理解できるだろう。
そうこうしている内に、新幹線がホームに入ってきた。
降りなければ! 私はカメラと荷物を肩に、日食グラスを片手に
浜松駅に飛び降りた。




ホームから、太陽を探す。あーーー、ホームの屋根にギリギリ隠れているではないか!これじゃ、線路に飛び降りなきゃ見れないんだよ。
駅の外に出なければ。 走り出す、私の横で、
黒髪の女性が私と同じように太陽を覗こうとして諦めた。
金星に興味のある人が、他にもいたか。
天文ブームだな。
そんなことを頭の片隅で考えながら、私は階段を走り降りていた。

忍者よりも速く。風になる奥義は、気合の精神力だ。一心不乱だった。
7時15分からはじまっている天体ショーは、
もう、本当に終わりかけている。13:30がラスト。
そこから18分かけて、金星は太陽の外に出てしまう!!
私の浜松到着は12:50だったんだから、
天文台までワープしたいぐらいの気持ちだったんです。

駅前のロータリーまで走り続けて、空が開けた時、
太陽がサンサンと輝いているのが見えた。
あーーー太陽だ!5時間以上、
探し求めてきた太陽が美しく熱く眩しく、輝いていた!
私は日食グラスを大きく掲げた!

見えた…見えた…見えたぁーーーー!!!

小さなオレンジの太陽の手前にほーーんの小さな小さな黒い点。
金星だ!金星だ、金星だーー!!
何て小さいんだ。金星は、もう、本当に太陽のほんの端っこにいた。
私は携帯を取り出して、恩師の先生に電話。
「見えましたーーー!浜松です!!これから天文台に行きます!」
そして、電話を切り、タクシーに向かおうと振り返った瞬間。

「連れて行ってください!天文台へ、私も」

そう声をかける女性が。 さっきのホームで太陽を覗き込んでた女性です。
彼女も、同じく太陽を求めてはるばる浜松まで流れきた一人だったのです。

「あー!もちろん、行きましょう!
浜松市天文台に行きます。タクシーに乗りましょう!」

タクシーに飛び乗り、15分。メールしたり電話したり、彼女と話したり。
そして、天文台下に到着したのが、13:15です。
私たちは、階段を駆け上がり、屋上へと登りつめました!
天文台です!やっとたどり着いた!!








私 「見せてくださいーーー!!」
職員の方「どうぞ!」




私は、走って駆けつけて。天体望遠鏡の中をのぞいた。

いた…金星くんだ。
赤オレンジの太陽の左下に、もう、ほんのギリギリの端っこに
見事な金星くんがいた。金星だ。太陽だ。
金星の太陽面通過だ。すごい。太陽に比べてなんて小さいんだろう。
月は地球の1/3の大きさ。金星は、地球から月までの距離の
約100倍も遠いところにいる。だから、金星くんは、ほんの手前を通過しているんだ。地球と金星は、なんてお友達なんだろう。
そして、太陽はなんて大きく輝いているんだろう。




衝撃と喜びと、幸福感。
ほんのしばし、感動に浸った。

そして、「はやく、はやく、見て!」

私は浜松駅で会った彼女に、望遠鏡で見るように促した。
すると……
サーっとどこからか雲が流れてきていて…
ピーカンだった空に厚いヴェールをかけた。
そして、そのまま、太陽は見えなくなってしまったのでした。。。




雲、雲。雲がどんどん厚く押し寄せます。




それからは、いくら覗いても見えません。




シュミレーターで、金星が出てゆく様を見せてもらいます。




職員の方が、雲で見えなくなった太陽の元でも
一生懸命、この星の話をして下さいます。




浜松市天文台は、素晴らしいです。真心と、星への思いがいっぱい。
東京から突然やって来た私に、本当にたくさんの話をして下さいました。




金星のこと、太陽のこと。軌道のこと、望遠鏡のこと。
また、ここに集いスタッフとして働いておられる星空公団の人たちが
素晴らしく良い人たち。
私は、特別な天体用のフィルムや多くの天文写真までもお土産に頂き…。
この金星の太陽面通過を奇跡的に目撃することができたのでした。




これは12時10分頃の、太陽と金星くんの姿です。
浜松市天文台が公開した天体写真です。

こうして、私の太陽を求めて求めた奇跡の旅が終わりました。
素晴らしかった。
本当に奇跡でした。
たくさんの人に守られ、たくさんの人のおかげで、見ることができました。
ありがとう。太陽、そして、金星くん。




私は、今日の日のことを忘れません。

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