2011年1月17日月曜日

Baby Tree の話 2

先日のBaby Treeの話の続編を書きます!!
不眠不休の断食7日間の山篭りのお行の話の途中でした。


3日目
「何でこんな行をしているんだろう」

5日目、空腹より寒さ。
正座もあぐらも痛くて。
お経を読む姿勢は倒れ込むようになり、法剣の稽古は、力もなくふらふらな状態。

6日目の昼…。身体の限界。戒をおかして、お経を読みながら…倒れ込み伏すような姿勢となっていた時。
「姿勢を正せ!」という天の声!
ハッとして…、畏れ、ただ静かに姿勢を正すと…。
すーっと天と地とに結ばれて自分がまっすぐになりました。
全ての痛みが消え、天と繋がり真っ直ぐになったと感覚。

そして、7日目。  というところまで、前回お話ししました。


さて、いよいよ、山をひとまわりして来なければならない、
最後の難関が私に迫っていました!
私は、夕方になる前には戻って来なければ危険なので、
まだ早いうちに山の御廻りを開始したのでした…。

山は険しく、岩がごつごつとしており、
私は手を伸ばし岩に手をかけて、山を登らなければなりませんでした。
体力の限界、何をするにも力が出ません。でも、日が暮れるまでには山を回って
毎日お教を唱えてきた山頂のお堂前にたどり着かねば道に迷います。

どれだけ歩いたでしょう。8割は過ぎ、あと少しのはずなのですが、
登りの急斜面が厳しくて自分を叱咤しても叱咤しても…足が進みません。
だんだん.、目はかすみ、膝は折れ、私はとうとう野に伏すように倒れ込んでしまいました。
土が私の頬にひんやりしました。
その時、私は、目の前にひとつの小さな小さな木を見たのです。

伏した私の目線の先に、その小さなBaby Treeは立っていました。
その木の立っている形が美しかったこと…。
私は、地面に顔をつきながら、そのBaby Treeの美しさに息をのみました。

枝のすっと活き活きと伸びた、その形。バランス。葉の緑。

木々の間、すけて届く夕日の赤にキラキラと…Baby Treeは立っていました。

こんなひと気のない山奥で、こんな小さな背丈の、生まれたての木。
私がこんな姿勢にならなければ、見る事もなかった木。
こんな山奥で、一生誰も、Baby Treeのことを見る者はいないかもしれません。

なのに、そのBaby Treeは、誰に見せるわけでもないのに、
本当に美しい形でそこに立っていたのです。

人が見ていなくても、神様が見ているってこと?
神様が見ているということは、人が見ているってこと?

そうだ…。そういうことなんだ!
私は、Baby Treeを見て、そう思いました。

こんな小さな木が、私に教えてくれたのです。
昨日、「姿勢を正せ!」と言われたばかりだったのに。
私は、もう、その言葉もすぐに忘れ、こんな風に倒れ転げていました。

こんな小さな木がこんなに美しく頑張っているのに。
私は、舞をまう者でありながら、なんということ!
私は何をしているのだろう!!!

私は、Baby Treeをただただ見ながら、そう悟ったのです。
そして、私は、ゆっくりと立ち上がりました。
そして、このBaby Treeのように生き、歩こうと思いました。

背筋を伸ばし、ちゃんと自分の足で一歩を踏みしめました。
1歩、1歩、ゆっくり歩き出しました。
大きな岩のかたまりを登るのも、神様が見ておられるのだと思いました。
あの、Baby Treeのように、私も立とう、そして、その姿の連続で歩こう、そう思いました。

その心持ちで歩き出せば、その険しい山道の登りの終点は、もうすぐでした。
そして、広くひらけた山の踊り場に出ました。
山から世界が一望できます。美しい山々のアヲ、雪の白、空の赤。

その瞬間、さーっと風が私のもとへ吹いてきました。
私は、その本当に心地よい風に、身も心も清められたように感じました。
なんと清々しい気持ち。

私は、その場所で歌舞しました。
誰がみていなくても、神様が見ている。
そして、神様が見ているということは、人が見ていることと同じなんだ。
あの、Baby Treeのように…無心でただただ美しくいること、立つこと、立ち続けること。
それが、大事なんだ…。


私はアーティストなのに。何やってたんでしょう。
あんな小さな赤ちゃんの木が、あんなに頑張っていたのに…。

これが、私の Baby Tree の話です。
あの右に左にと美しい調和とバランスと質感で枝をのばし立っていた小さな木。

私は、あの Baby Tree を一生忘れません。


この話を私は松風窓でイレーナに話したのです。
彼女は、すごく感動したと言ってくれました。
「Beautiful Story …」そう言ってくれました。
この日、私とイレーナはすごく仲良くなったと思います。
その日からあっという間に日にちが経って…
1/4に来日した彼女との東京での日々も、半分を過ぎてしまいました。

私は、毎日のように、彼女に日本食を紹介しています。
天ぷら、お刺身、お好み焼き、みそラーメン、フライ、カレー、すき焼き、焼鳥。
稽古の後、彼女とのディナータイムは、あっという間に過ぎてしまいます!

写真が整理できたら、続々ご紹介しますっ!

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