2012年5月30日水曜日

五味康祐とベートーヴェン 「気」のこと

五味康祐さんは、昭和27 (1952)年に
『喪神』で松本清張とともに芥川賞を受賞しました。

私、時代小説は五味康祐さんが一番好き!!
その中で、最も好きな作品は。。。
五味康祐 『櫻を斬る』です。

「秘剣・柳生連也斎」の中にある短編。
「喪神」もこの中に入っています。




五味康祐『秘剣,柳生連也斎』(新潮文庫,1958)

私の「気」の師である藤木相元先生は
この五味康祐さんの従兄弟さんです。

長いお付き合いだったのに…ほんの先ごろ、そのことを知りました。
もう、びっくりで!

「えーー!!五味康祐さんが従兄弟なんですかーー??」
泣きそうになった。
だって、一番好きな時代小説家だったから。。。

「櫻を斬る」は、桜月流がやりたい。



相元先生は、その時、五味康祐さんから聞いたという
ある話を交えて、大切なことを伝えて下さいました。


君は、魂に届く歌を歌わなければならない。
魂に届くのは、耳に聞こえる 感性に訴えるものじゃない。
魂に直接入る 本能に訴えるものだ。

ベートーヴェンが活躍した時代、
コレラが流行り、2000万人の人があっという間に死んだ。
風下にいけば死ぬと言われ、皆、恐怖に震えていた。
貴族も農民も平等に分け隔てなく…死んだ。

そんな時、ベートーヴェンは高官や民衆を集めて
コンサートへ来るよう招いた。

そこで発表したのが、あの「第5 運命」だった。
演奏を聞き、人々は奮い立った。
臍下丹田に轟く、魂に届く、音楽だったからだ。

流行曲は感性に訴えるもの。だから何度も何度も聞いて、入る。
しかし、クラッシックは違う。魂に訴える。
特に、この日のベートーヴェンは沈みきった人々の魂を奮い立たせるだけの
「気」を発動していた。それは、ただ一度聞いただけで
肚に届く音楽であり、人々が生きる気力を取り戻す音楽だった。
「気」の枯渇による死への誘いを跳ね返す力を与える音楽だった。

君の歌は、君の舞は、こうであらねばならぬ。
そして、君にはそれが出来る。
神代のものは、流行歌とは違う。
だから、「気」が大切なのだ。

これを教えてくれたのは、兄のように慕っていた
五味康祐が教えてくれたことだ。
だから、ここに伝えておく。




これは、五味康祐先生が相元先生を通して
私に教えてくださったことだと認識している。
…だから、肝に命じて理解実践したい。


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うちの松木史雄なら、必ず、
五味康祐先生の世界を描き出せると思う。


私には、わかる。
理由はわからないけど。




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